東京大学保全生態学研究室
西廣淳

2009年  市民・研究者協働による「湖岸植生の再生」の参加者募集


これまで霞ヶ浦において国土交通省により実施された「湖岸植生の再生事業」の一環として行われた、「アサザ個体群の再生」の現場を見 学・調査し、アサザ個体群と湖岸植生の回復状況を確認します。

背景
アサザはかつては溜池や湖沼に比較的普通に見られる植物でした。しかし、水辺の開発などの原因で分布地は減少し、現在では絶滅危惧種(2007年改定の環 境省版レッドリストでは準絶滅危惧種)となっています。そのような中にあって霞ヶ浦は、日本で最大のアサザ個体群を擁し、アサザの保全にとってとても重要 な場所でした。しかし霞ヶ浦のアサザも1996年頃から急速に減少し、絶滅が心配される状況になってしまいました。そこで国土交通省はアサザの保全を主要 な課題の一つに含む「湖岸植生帯保全のための緊急対策事業」を2000年から実施しました。

この事業では、近年アサザの生育が認められた場所において、それぞれの場所の条件に応じた多様な「再生事業」が行われました。事業地の一つ「鳩崎地区」 (茨城県稲敷市)は、霞ヶ浦への小野川の河口部に位置し、かつてはアサザの大群落が認められた場所です。この場所のアサザ群落は、遺伝的に多様なアサザが 生育していたため、他の場所と比べて種子生産が顕著に高いという特徴を持っていました。そのためアサザ群落が消失しても、しばらくの間は湖岸でアサザの実生(タネからのめばえ)が確認されていました。しかし、調査により、これらの実生は現在の霞ヶ浦の水位条件の下では定着して成長することが出来ないことがわかりました。

そこで鳩崎地区では、死亡する前のアサザ実生を湖岸で見つけて近隣の小学校の校庭に作った「ビオトープ池」に移殖して育成する、「実生のレスキュー活動」 が2000年前後に行われました。学校とNPOの強力により、「レスキュー」された実生は、ビオトープ池で順調に成長しました。一方、湖岸ではアサザの生 育に適した波の穏やかな浅瀬が国土交通省の事業として整備されました。ビオトープ池で成長したアサザは、この場所に移殖されて順調に成長しています。そし て、2008年には、移殖したアサザが開花し、多くの種子を生産しました。

今後アサザの個体群が健全に回復するためには、生産された種子が発芽・定着し、 新しい世代として群落をつくっていくことが期待されます。今年はそのような「再生後の新世代」をなるべく多くの「目」で探したいと思います。アサザの実生 は形態にちょっとした特徴がありますので、じっくり探せば見つけられると思います。あわせて、初夏の湖岸の植物の観察をしたいと思います。

内容
・再生事業が行われた湖岸においてアサザの実生(タネから発芽しためばえ)を見つける。
・霞ヶ浦に残された素晴らしい湿地(浮島湿原)を観察する(こんなに素敵な湿原が霞ヶ浦にあったの?と驚いていただく予定です。)。

日程とスケジュール
2009年6月7日(6日は悪天候の予報のため、7日に変更しました)
9:00 土浦駅東口ロータリー集合
10:00−12:00 鳩崎地区でアサザ実生調査と植物観察会
12:30−14:00 浮島湿原(妙岐の鼻)で昼食・植物観察会
15:00頃 土浦駅 解散

持ち物と服装
・予定は午後までかかりますので、お弁当をご用意ください。なお途中でコンビニエンスストアに寄りますので、そこで購入することも出来ます。
・汚れても良い服装でご参加ください。長靴は必須で、もし可能であれば胴長(ウェーダー)があった方が良いです。
・帽子、飲み水など、暑さ対策にご留意ください。

ご参加いただける方は事前にご一報ください。その際、交通手段(電車・自家用車)、自家用車の場合、同乗をお願いできる人数をお知らせください。参加の申し込みは6月3日昼12時までにお願いいたします。

参加申込・お問合せ先:
西廣淳(にしひろ じゅん) ajn@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp 電話 03-5841-8915 ファクス 03-5841-8916

flower seedling
再生したアサザ群落(花がみられるのは8月頃からです) アサザ実生の「レスキュー活動」

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